ライフセービングで世界の頂点を極めた若者が、今度は「海猿」の異名を持つ海上保安庁の潜水士の頂点をめざしている。鳥羽海上保安部(三重県鳥羽市)の巡視船「いすず」に乗務する幡野圭祐さん(25)。10月、念願だった海猿としてデビューした。
11月中旬、いすずが停泊する岸壁で、鳥羽海保の海猿8人と県内外から集まった消防の潜水士12人による3日間にわたる合同訓練があった。
最終日の20日、報道関係者に公開された訓練は、重さ20キロのボンベを背負いながらいすずの周囲を6周泳ぎ、その間、重装備をつけたままロープをつたって船尾を何度も登る過酷なものだった。
50分の制限時間内に訓練が終わらない潜水士もいるなか、「体力勝負では誰にも負けたくない」と、幡野さんは20人中トップの23分余りで完了。訓練直前に激しい食あたりに見舞われ、体重が7キロも減る最悪の状態だったが、視察した鳥羽海保の三盃(さんばい)晃部長(50)は「泳ぐ力が秀でている。体調が万全ではないのに、新人とは思えない体力だ」と目を丸くした。
幡野さんは東京都武蔵村山市出身。2歳で水泳を始めた。ジュニアオリンピックへの出場を重ねるなど、将来を嘱望された。初めて海猿の存在を知ったのは、中学1年生のときに見た映画だった。
ウェットスーツに身を包み、ボ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル